婚礼にまつわる食材

結納や両家の顔合わせ、披露宴など、お祝い事と食事は切っても切れない関係にあります。
また日本人は古くより、この様な祝いの席で食べる食材には、深い意味があるからこそ、その場に見合った食材を食してきました。

 

最近はこの様な古くから伝わる文化が軽視されがちではありますが、婚礼の場に並べられる主な食材達にはそれぞれ、大切な意味が隠されているのです。
これらの慣例に従う事が全てではありませんが、それぞれの食材に込められた先人達の知恵や意味を知り伝えていく事も、日本人として生まれた以上、ぜひ一度は知っておくべきではないでしょうか。

 

婚礼にまつわる魚介

結婚式といえば、鯛の尾頭付きが定番メニューとなりますが、最近では骨が多く食べづらい事や、洋式のメニューが増えてきた事で、テーブルに並ぶケースも少なくなりました。
鯛=めでたい といったダジャレが故に、披露宴の場に相応しい食材、と勘違いしている人も多いようです。
ですが、鯛が婚礼の場に並ぶ理由というのは、鯛の生態系に関連しているのです。

 

鯛は、夫婦つがいで生態系を共にしてる魚なのです。
一般的な魚の殆どは、受精のみを済ませればオスとメスが共に生息している事はまず無いのですが、鯛は原則として夫婦がつがいで生息している魚となり、その証拠に多くの鯛をつがいで釣る事が出来るのです。

 

この様に、鯛=夫婦仲の象徴 といった意味があり、披露宴の場で好まれる食材となったのです。

 

蛤(ハマグリ)

鯛同様に、お吸い物など披露宴には欠かせない食材と言えます。

 

蛤の殻は数ある2枚貝の中でも、必ず同じ殻同士でなければ形が合わないという特徴を持っています。
同じ殻同士でなければ形が合わない事から、夫婦が共にピッタリと合う様、縁起を担ぎ披露宴の場で広く親しまれています。

 

ちなみに、グレるという意味の語源も、ハマグリ=形が合うに対し、グリハマ(江戸時代には、語順を逆にした倒語を逆の意味として使用していた)=形に合わないといった意味を持っており、このグリハマが変化し、グレるという言葉が生まれたそうです。

 

海老(エビ)

縁起の良い食材として、エビは代表に挙げられますが、その意味を理解している人は少ないようです。
エビを漢字では「海老」と書くように、

  • 長いひげや曲がった腰が老人のように見える

といった外見の特徴から、長寿を願う縁起物の食材として重宝されています。

 

婚礼の場だけでなく、おせち料理などにも海老が含まれるのは、上記の理由からとなります。

 

 

結納にまつわる食材

熨斗鮑(のしあわび)

現在は、黄色い布状のものが入った熨斗で代用されていますが古くは、のし鮑という鮑を乾燥させ、薄く伸ばした食材が使われていました。
アワビは当時より高価な食材だったのですが、

  • 不老長寿
  • 生まれてくる子供の目が綺麗になる

などの理由から、婚礼にまつわるおめでたい食材として重宝されてきました。

 

鯣(寿留女・するめ)

ご存じの通り、するめいかの干物となります。
するめいかは長期保存が利く上に、噛めば噛むほど味が出るなどの理由で、

  • 末長く幸せになれる
  • 味のある夫婦、家庭を築く
  • 足が多い(お足=お金 の意を持つ)

この様な意味を持つ、縁起良い食材とされてきました。

 

昆布(子生婦・こんぶ)

昆布には海藻の中でも特に、

  • 生命力
  • 繁殖力

が優れた食材と言われています。

 

上記の理由から、子孫繁栄や長生きの意が込められています。
また、よろこんぶ=喜ぶ といったダジャレ的な意でも知られている食材となり、正月のおせちにも欠かせない一品です。